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2009/02/05
政府紙幣発行について考えてみる。

最近気になっているニュース。

政府紙幣発行の構想が浮上しているとのこと。

今日の日経新聞にも出ていました。
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090204AT2C0301J03022009.html

なんのこっちゃ?ということで少し調べてみました。
自分の頭を整理する意味でもちょっとまとめてみたいと思います。


通常、紙幣は日銀が、「日本銀行券」として発行します。
政府紙幣とは、その名のとおり、政府が発行する紙幣のこと。
日銀券となにが違うかというと、日銀が日銀券を印刷して銀行を通じて
市場に流す際、負債になります。日銀が1万円を市場に提供すればそれは、
1万円を「使った」ことになるということです。
それに対し、政府紙幣は負債になりません。
つまり何もないところから政府は無限にお金を作り出すことができるわけです。

ちょっと想像してみてください。
私があなたから100万円の借金をしているとします。
私は生活が苦しくて借金を返せない。
いつまでも返せないでいるうちに利息も含めて返せとあなたに迫られます。
そこで、私はチラシの裏に100万円と書いて、
「これ、100万円だから。大丈夫、私が保証しますから。どうぞ。」
といって借金を返すわけです。
これを今政府がやろうとしているのです。
派遣切りが大変だから。思い切った財政政策を打ち出そうにも財源がない。
じゃあ今の法律の枠組みで出来るんだから、お金を作ればいいじゃないかと。


これだけ捉えるととんでもないことのように聞こえますが、実は常に政府紙幣
の発行が悪であるわけではありません。

政府紙幣を発行すると、国の借金を増やすことなく思い切った財政政策を打てます。
例えば、今話題になっている定額給付金を、政府がいっぱいお金を刷って、
1人1万2千円と言わず、10万円配りましょうと。
そうすればみんながその10万円を使っていろいろ消費をするので需要が改善されます。
また、大型の公共工事だって借金せずにやっちゃえます。
その結果、雇用も改善されます。
その副作用として何が起きるかというと、インフレです。

無限にお金を作れることがわかっているので、当然お金の価値は下がります。
お金の価値が下がると物価が上がります。
急激なインフレは生活を壊しますが、ゆるやかなインフレは企業の金回りを良くし、雇用を改善し、むしろ景気を良くします。

ですので、経済がデフレの局面では、インフレ政策として有効に機能すると考えられます。
かなりの劇薬ですが、限定的に使う分には確かに有効でしょう。

問題は、そのさじ加減です。
無限にお金を発行し続ければ、どんどんインフレは進行します。
外国から見ても、そんな打ち出の小槌を振るい続ける国のお金は信用できない
といって誰も円を買わなくなって、円安が進むでしょう。
一番の懸念は、政府紙幣の発行をいいところで止める制御がきくかという点です。
どのタイミングでやめるのかは非常に重要ですが、借金を増やさずに財源だけ
を増やすという誘惑に勝たなくてはなりません。
選挙のことで頭がいっぱいの、財政拡大派が主流の与党自民党でうまく制御できるのか疑問が残るところです。
すでに書いたとおり、インフレ政策としては有効ですが、借金棒引きのために使う施策ではないのです。
永田町の先生方がそれを分かっていないとは言いませんが・・・


さて、改めて最初にリンクした日経の記事を読んでみると、こう書いてあります。


総裁は株式買い取りを決めた後の記者会見で「通貨に対する信認が害される恐れがある」と強調。そのうえで政府の債務返済能力への疑念から「長期金利の上昇を招く」と述べ、副作用の可能性を指摘した。

「信認が害される」とは、お金の価値が下がるという意味ですね。
「長期金利の上昇を招く」のは、長いスパンでお金を貸すと、その間に
お金の価値が下がって、低い金利じゃ逆ザヤになるから、金利を高くして
貸したお金の目減りを防ごうというインセンティブが市場に働く、ということを意味します。

さらに、日銀の白川総裁は以下のようにコメントしています。

「(発行額に見合った)資金調達が必要になるという意味で国債の発行と実体的に変わらない」

これは、政府紙幣が市場から日銀に回ってきた際に、政府に引き取ってもらう
パターンに言及したものですが、日銀からすると政府紙幣は「日銀券の代わりになるもの」
でしかないわけですから、政府に引き取ってもらって、その分日銀券で返して
もらうということになるのですが、そうなると結局政府はその分の日銀券が
必要なわけで、その財源がなければ結局は国債を発行して日銀券を調達し、
日銀に返すということになるので、「国債の発行と実体的に変わらない」となるわけですね。

まとめる、と言いながらかなりダラダラと長くなってしまいました・・・
背景を知ると、新聞の記事がいかに言葉足らずかということがわかってきました。
この件はもうしばらく行方をウォッチして行きたいと思います。


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